バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 いわゆる「実践的/実用的(practical)」であることを自慢する人は、ほとんどの場合、もっぱら手段のことばかりに気をとられている。しかし、それ(手段)は知恵の半分に過ぎない。残りの半分、つまり目的について考えるとき、その経済的プロセス(economic process 富の生産過程?)や人生の全体は全く新しい様相を呈する。

Men who boast of being what is called "practical" are for the most part exclusively preoccupied with means. But theirs is only one-half of wisdom. When we take account of the other half, which is concerned with ends, the economic process and the whole of human life take on an entirely new aspect.
Source: Authority and the Individual, 1949, chapter 6: Individual and Social Ethics.
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<寸言>
 "economic process"の意味が今ひとつわかりませんが、経済的プロセスというのは、「富を生み出す経済活動のプロセス」のことでしょうか? 

 目的が変われば(目的達成のための)適切な手段は異なるのが普通です。当面の目標は設定する(考える)けれども、目ざすべき目的(最終目標)を余り考えない人は、いろいろやってみてから、なにか大きな失敗をすることによって、自分の努力は無駄だったと後悔することも少なくありません。蓄財に努め、金銭的な余裕ができてから、年を取ってから、精神的にゆったりとした暮らしをしようと思っていたところ、投資に失敗などして、自分の人生を悲観したりする人もめずらしくありません。自分ひとりであれば、「挑戦なくして人生なし」ということでもよいかも知れませんが・・・。

【つけたし:二行目 (But theirs is only one-half of wisdom.)を「彼らの持つものは知恵の半分にしか過ぎない」と訳す人が多いようです。社会思想社から出されている江上照彦訳もそうなっています。果たして「彼らが持つもの」でよいでしょうか? 知恵が必要なのは、手段に関するものが半分で目的に関するものが半分と言っているのですから、「theirs」は「means」を指すと考えるのが素直ではないでしょうか?
 つまり、"theirs"(theyの所有代名詞)は「彼らのもの・彼女らのもの・それらのもの」と、人にも物にも使える人称代名詞ですが、ここは「それらのもの=手段に関するもの」と考えるべきではないでしょうか?
 <参考:them 意味と使い方例文8選|theirsとthem違い
  https://lostash.jp/sales/trivia/1090524
 また、「mean」と「means」とはまったく異なる単語です。手段という意味の「means」は単複同形ですあり、ここでは単数形として使用されています。もし「theirs」が「彼らの持つもの」という意味になるのであればそれに続く動詞は複数形になるのではないでしょうか? それよりも何よりも、この文脈で「彼らの持つもの」という意味合いの訳語が突然出てくる(ひねり出す)のは不自然と思わないのでしょうか・・・?】

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