ラッセル英単語・熟語1500 |
記憶(memory)から -プラトン主義的な意味(イデア)ではなく- ロック、バークレー、ヒュームが「印象(impressions)」と対立させた「観念 (ideas)」と呼ばれるものへと容易に移行することができる。あなたがある友人を意識するのは、その人を見ることによってか、その人のことを「考えること」によってかのどちらかであろう。「思考」によって、(たとえば)人類や生理学など、見ることのできない対象(抽象的なもの)を意識することができる。狭い意味での「思考」は、印象や単なる記憶とは対照的に、「観念」からなる意識の形態である。
From memory it is an easy step to what are called "ideas"-not in the Platonic sense, but in that of Locke, Berkeley and Hume, in which they are opposed to "impressions." You may be conscious of a friend either by seeing him or by "thinking" of him; and by "thought" you can be conscious of objects which cannot be seen, such as the human race, or physiology. "Thought" in the narrower sense is that form of consciousness which consists in "ideas" as opposed to impressions or mere memories.
Source: The Analysis of Mind, 1921, chapter 1.
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<寸言>
ラッセルのこの文章を読んでどう感じるでしょうか? 当たり前のことを言っているだけと思うか、重要なことを明晰に述べていると思うか、それとも何を「言いたいのか」今一つわからないと思うか、いずれでしょうか?
プラトンの「イデア(観念)」はこの世には存在しない天上のものですが、ラッセルが言っている「アイデア(観念)」は脳内にある、脳内現象としての、具体的な「観念」です。
ラッセルの文章にはこういった内容や表現のものがいっぱいあります。一般の人(不特定多数の人)の興味をひかないかも知れないということで、「ラッセルの言葉(本日の言葉)」として引用するにはふさわしくないかも知れないと、時々躊躇します。
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell