ラッセル英単語・熟語1500 |
哲学者を研究する際の正しい態度は、尊敬でも軽蔑の態度でもなく、まずその哲学者の理論を信じることがどんな感じなのかを知ることができるまで(は)一種の仮説的な共感を持ち、その後、可能な限り、これまで持っていた意見を放棄する人の心の状態に似た批判的態度を復活させることである。
In studying a philosopher, the right attitude is neither reverence nor contempt, but first a kind of hypothetical sympathy, until it is possible to know what it feels like to believe in his theories, and only a revival of the critical attitude, which should resemble, as far as possible, the state of mind of a person abandoning opinions which he has hitherto held.
Source: A History of Western Philosophy, 1945.
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<寸言>
言うは易くして行い難い態度です。しかし、ラッセルはそれを実践したからこそ、名著『西洋哲学史』(A History of Western Philosophy, 1945)のように、多くの過去の哲学者について、深い理解と的確な批判ができ、それを読者に理解させたり、共感をもたせることができました。(添付した画像にあるように、アインシュタインは激賞しています。「バートランド・ラッセルの『西洋哲学史』(A History of Western Philosophy, 1945)は貴重な書物である。この偉大な思想家ラッセルにおけるすばらしい新鮮さと独創性、換言すれば、過去の遠い時代や異質的な精神にたいする感情移入の鋭さについて、私はいかにそれを頌えるきか、言葉を知らないくらいである。現代――この、かくもドライで野蛮な時代においてすら、かくも英知にみち、信頼に値し、徹底的であり、しかもヒューマーにみちあふれた人間が存在することを示し得るのは、幸福である。この本は党派や見解のもろもろの闘争をはるかに超越し、もっとも深い意味で教育的である。A.アインシュタイン(1946)」)
『西洋哲学史』はもともと、バーンズ財団の創設者として有名なバーンズ博士の求めに応じて、バーンズ財団における市民公開講座用に執筆されたものです。従って、一般市民がわかるような書き方をしており、またわざと極端な言い方をして、聴講者(読者)を喜ばさせるような書き方をしているところもけっこうあります。人によってはそういう部分が嫌いで、「深さがない」と反発する評論家もいました。古いですが、日本において最も辛辣な批評をした人は林達夫(平凡社世界大百科事典の編集長として有名)です(でした)。
【参考:林達夫「ラッセル(著)『西洋哲学史』v.1(古代)について」
https://russell-j.com/cool/REV-HWP1.HTM】
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell