バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 ・・・そうして、彼(D.H.ロレンス)の激しい非難にもかかわらず私が書いた本は、彼と知り合わなかった場合よりも、より良いものになったと思う。
 しかし、それは彼の思想(考え)に何か良い点があったと言っているのではない。振り返ってみても、彼の思想には何らかの長所があったとは思わない。それは神経質な自称専制君主の思想であった。

... and I think the book that I wrote in spite of his (D. H. Lawrence's) blasts of denunciation was better than it would have been if I had not known him.
But this is not to say that there was anything good in his ideas. I do not think in retrospect that they had any merit whatever. They were the ideas of a sensitive would-be despot.
Source: D. H. Lawrence.
Reprinted In: Portraits from Memory and Other Essays, .
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB21-140.HTM

<寸言>
 ラッセルとD. H. ロレンスは、水と油のように溶け合うはずはないと思われますが、第一次世界大戦に反対する者が少なかった当時、ラッセルはロレンスと組み、集会や講演会などで反戦を訴えかけました。しかし、間もなく、基本的な考え方が違っていることがわかり、喧嘩別れの結果になりました。
 ラッセルは、『自伝』や『記憶からの肖像』その他、いろいろなところでロレンスについて書いていますので、両者の関係がどんなものであったかよくわかります。ラッセルが米国のハースト系の雑誌に寄稿したエッセイ「天才になる方法」の中で、次のように皮肉をこめて書いています。

「ロレンスは、彼の信奉者(崇拝者)によって、男女関係についての、あらゆる種類の新しい知恵を明確に述べたと考えられている。(しかし)事実は(その逆であり)、人が(石器時代の)穴居人と結びつけて連想する、あの男性支配の擁護(唱道)へと立ちもどったのである。彼の哲学では、女性は、労働からもどった英雄(勇士)を休息させるための、ある種の柔かく肥えたものとしてのみ存在する。文明社会は、それ以上の価値を女性に認めることを学んできたが、ロレンスは文明の価値をまったく認めないだろう。彼は、古くて正体不明のものを求めて世界を駈けめぐり、メキシコでアズテカ人の残虐性の痕跡を見て慈しむ。若者は、行動することを学び続けてきたので、当然のことながら、ロレンス(の作品、小説など)を歓喜とともに読み、この種の穴居人の真似を、上流社会の慣習が許す限り、実践する。
 天才になるための秘訣の最重要要素の一つは、非難の技術の習得である。あなた方は必ず、この非難の対象になっているのは自分ではなくて他人であると読者が考えるような仕方で非難しなければならない。そうすれば、読者はあなたの気高い軽蔑に深く感銘するだろうが、非難の対象が他ならぬ自分自身だと感じたと同時に、彼はあなたを粗野で偏屈だと非難するだろう。」
(... One of the most important elements of success in becoming a man of genius is to learn the art of denunciation. You must always denounce in such a way that your reader thinks that it is the other fellow who is being denounced and not himself; in that case he will be impressed by your noble scorn, whereas if he thinks that it is himself that you are denouncing, he will consider that you are guilty of ill-bred peevishness. )

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