ラッセル英単語・熟語1500 |
中国の道教、インドの仏教、ギリシアのオルフィウス教、 ヘブライの予言者達はこの性格を持っていた。即ち、それらの宗教は、自然の生活は悲しみに満ちたものだという認識及び、人間が不幸から逃れ、少なくともそれに耐えられるようにする生き方の探究から生まれたのであった。・・・。キリスト教は西方に向かうにつれて、形而上学的でなくなり、より道徳的になった。イスラム教は、ペルシア(現在のイラン)を除いて、形而上学的要素は常にごくわずかしか持たず、一方、インドに発した諸宗教は、大部分、哲学的であった。
Taoism in China, Buddhism in India, the Orphic religion in Greece, and the Hebrew prophets, all had this character: they arose from the perception that the natural life is sorrowful, and from the search for a way of life which should enable men to escape misfortune, or at least to bear it. ... as Christianity travelled westward, it became less metaphysical and more moral. Islam, except in Persia, has always had only a very slight element of metaphysics, while the religions emanating from India have been predominantly philosophic.
Source: Education And The Social Order, by Bertrand Russell, 1932, chapter 8
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<寸言>
伝統的な世界の大宗教の性格(及びその違い)を的確に表現しているように思われます。
キリスト教(の教義)は哲学的だと思う人がいるかも知れませんが、神学的ではあっても(真理探究の意味での)哲学的なものとは言えません。
キリスト教は道徳的であり、仏教は(一神教の絶対神としての神などは想定しない)哲学的なものであり、イスラム教は形而上学的及び哲学的要素はほとんど持たず、どちらかというと政治的な性格を持っているという指摘は、多くの人が納得するのではないでしょうか? イスラム教諸国は道徳的観点からみても、合理主義的観点からみても不可解ですが、政治的な性格を持った宗教だと考えれば、たとえば、どうして女性に対してあれほど厳しいのかがある程度理解できるような気がします。
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