ラッセル英単語・熟語1500 |
仮に信心深い人々の言うことを信じるべきだとすれば、神の慈悲は時々奇妙に選り好みをするものである。『千歳岩』の著者トップレディ(Augustus Toplady, 1740-1778 英国の牧師)はある牧師館から別の牧師館へと移った。移動してから一週間後に、彼が前に住んでいた牧師館が火事で焼失し、そこに新しく赴任した教区牧師は大きな損失を被った。そこで、トップレディは神に感謝した。しかしその新しい教区牧師が何をしたか(訳注:どんな罪を犯して火事に見舞われたのか)は知られていない。(言うまでもなく皮肉)
Sometimes, if pious men are to be believed, God's mercies are curiously selective. Toplady, the author of "Rock of Ages," moved from one vicarage to another; a week after the move, the vicarage he had formerly occupied burnt down, with great loss to the new vicar. Thereupon Toplady thanked God; but what the new vicar did is not known.
Source: An Outline of Intellectual Rubish, 1943
More info.: Unpopular Essays, chapter 7
<寸言>
九死に一生を得ると、信心深い人は「神のご加護で救われた」とよく言います。同じく、信心深い人でも不幸な目にあって亡くなっても「死人に口なし」です。救われた信心深い人は、救われなかった信心深い人のことを「神のご加護がなかった」と考える人が多いのか、「信心の程度が浅かった」と考える人が多いのか、誰も調査した人がいないのでわかりません。
キリスト教あるいはイスラム教(一神教)の信仰心が厚い人達は、敵国人が亡くなっても、「神の報いだ」と考える人がけっこう多そうです。
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell