ラッセル英単語・熟語1500 |
個人も群衆も国民も、大きな恐怖(心)の影響下においては、人道的に行動したり、正気で考えたりすることを信頼することはできない。そのため、臆病な人の方が勇敢な人よりも残酷になりやすく、また迷信に陥りやすい。このように言う時、私の念頭にあるのは、ただ死に直面した場合だけでな く、あらゆる点で勇敢な人のことである。多くの人は、勇敢に死ぬ勇気を持っているだろうが、自分が死ぬことを求められている大義(理由)が無価値のものであると言ったり考えたりする勇気は持っていないだろう。
Neither a man nor a crowd nor a nation can be trusted to act humanely or to think sanely under the influence of a great fear. And for this reason poltroons are more prone to cruelty than brave men, and are also more prone to superstition. When I say this, I am thinking of men who are brave in all respects, not only in facing death. Many a man will have the courage to die gallantly, but will not have the courage to say, or even to think, that the cause for which he is asked to die is an unworthy one.
Source: An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
More info.: Unpopular Essays, chapter 7
<寸言>
いずれの国も「侵略のため」と公言して他国の領土に攻め入ることはなく、「防衛のため」と主張して他国を侵略します。
自国に敵国が侵略してきた時には、いずれの国も撃退する権利を持っています。しかし、「防衛」を理由に他国を侵略する権利はありません。他国を侵略した場合は、相手国の軍隊や民衆によって殺害されても文句は言えません。
他国を侵略することによって死ぬことは「ほとんどの場合、無駄死に」です。「勇気」にはいろいろありますが、「侵略によって戦死することは無駄死にだ!」と主張する(認める)ことも「勇気」だということを、毎年靖国を集団参拝する国会議員はどれだけ理解しているでしょうか?
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell