ラッセル英単語・熟語1500 |
哲学者の気質はめったにないものである。なぜなら、それは二つのいくらか矛盾した特徴を兼ね備えていなければならないからである。即ち、一方では、宇宙あるいは人生についての何らかの一般命題を信じたいという強い欲求という特徴と、他方では、知的な根拠があると思われるもの以外は信じることはできないという特徴(=懐疑精神)の、両方の特徴を持っていなければならない。
哲学者は、深遠であればあるほど、知的黙認という望まれる状態を創り出すために、彼の誤謬はより複雑かつ巧妙なものでなければならない。それが、哲学がわかりにくい理由である。
The philosopher's temperament is rare, because it has to combine two somewhat conflicting characteristics: on the one hand strong desire to believe some general proposition about the universe or human life; on the other hand, inability to believe contentedly except on what appear to be intellectual grounds. The more profound the philosopher, the more intricate and subtle must his fallacies be in order to produce in him the desired state of intellectual acquiescence. That is why philosophy is obscure.
Source: Bertrand Russell : Philosophy's Ulterior Motives, 1937
More info.: https://russell-j.com/beginner/PHIL-DIF.HTM
<寸言>
真理・真実を知りたいという強い欲求と根拠のないものは絶対に受け入れないという強い気持ち。後者の気持ちが弱い人は宗教家に多く、前者の欲求の弱い人は世間に流され易くなります。
ラッセルは相矛盾するこの2つの特徴を併せ持っていました。ラッセルの哲学的伝記を記した名著で有名なアラン・ウッドはその著作のタイトルを『バートランド・ラッセル-情熱的な懐疑家』としました。懐疑と情熱は通常同時に現れませんが、ラッセルにおいては見事に併存しており、そのことを理解しないと、ラッセルの言うことを誤解・曲解する可能性が大きくなります。
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell