ラッセル英単語・熟語1500 |
我々の時代の最大の悪弊である狂信的な独断論は、前述のように、主に知的な欠陥であるが、哲学が知的な解毒剤を供給するものの一つである。しかし,独断論の非常に多くのものは感情的(情緒的な)な源泉も持っている。即ち、恐怖心である。・・・。恐怖心にかられた国民は,不寛容な国民である。私はこの点で、彼らが賢明であるとは考えない。恐怖心はめったに理性的行動を起こさせることはなく、非常にしばしば恐れられているまさにその危険を増すような行動を起こさせるのである。
Fanatical dogmatism, which is one of the great evils of our time, is primarily an intellectual defect and, as I suggested before, it is one to which philosophy supplies an intellectual antidote. But a great deal of dogmatism has also an emotional source: namely, fear. ... Frightened populations are intolerant populations. I do not think they are wise in this. Fear seldom inspires rational action and very often inspires action which increases the very danger that is feared.
Source: Bertrand Russell : Philosophy for Our Time (1953)
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<寸言>
敵国が核兵器を増強すれば自分達(自国及び友好国)も核兵器を増強しなければならないと考えます。核兵器さえ保有していれば核兵器保有国に戦争をしかけることはないだろうと考える(均衡理論)。しかし、超大国同士は戦争をすることはなくても、それぞれの属国、と言って悪ければ、それぞれの友好国同士は超大国(米ソや米中)の代理戦争を頻繁に行っています。
「なんだ、核兵器は戦争の抑止力になっていないじゃないか、核兵器は威力が大きすぎ、使用することはできない。使用できない兵器は抑止力にならない」ということで、米ソは使用可能と彼らが考える小型の核兵器(戦術核/ただし、広島に投下された原爆よりも威力があるもの)を開発し始めました。ロシアのプーチンは核兵器は原則使用しないと言っていますが、「ロシアが存立危機に陥った場合は核兵器の使用もありうる」と言っています。
ラッセルが言うように、超大国同士の猜疑心、恐怖心は、「しばしば恐れられているまさのその危険性を増すような行動」を起こさせています。