ラッセル英単語・熟語1500 |
原理原則や自己犠牲や大義名分に対する英雄的献身等々に関する大部分の話(おしゃべり)は、いくらか懐疑的によく調べてみるべきである。少し精神分析をしてみればしばしばわかることであるが、こういった美名によって進むものは、実際は,たとえば自負心や憎悪や復讐心というようなまったく異なったものであり、それらは理想主義の気高い形態として,理想化され、共有化され(集団化され)、人格化されてきたものである。好戦的な愛国者は -祖国のために進んで戦おうとする,あるいは戦いたくてしかたがない者であり- 殺人に一定の喜びを持っているのではないかと疑われるのももっともである。
Most talk about principle, Self-sacrifice, heroic devotion to a cause, and so on, should be scanned somewhat sceptically. A little psycho-analysis will often show that what goes by these fine names is really something quite different, such as pride, or hatred, or desire for revenge, that has become idealized and collectivized and personified as a noble form of idealism. The warlike patriot, who is willing and even anxious to fight for his country, may reasonably be suspected of a certain pleasure in killing.
Source: Bertrand Russell : Power, a new social analysis, 1938
More info.: https://russell-j.com/beginner/POWER18_310.HTM
<寸言>
「歌謡曲は心地よいメロディーと人々が好むいくつかの単語やフレーズを散りばめた歌詞さえあれば容易に人を感動させることができる」という趣旨の番組をかつて見たことがあります。
政治の演説も同様の現象があり、著名な政治家はみな聴衆(国民)を感動させることができる演説原稿を書いてくれるライターを探し求めます。日本の総理大臣も同様で、本人がまともな文章を書けなくても(誰かさんのようにあまり漢字を読めなくても)、名文ライターの書いた演説文をあたかも自分が書いた文章であるかのようにスピーチすれば、なかなかよいことを言うではないかと、感心してもらえます。
そう言えば、某タレントが本を出版した時に、芸能記者から本の内容を聞かれ、「私はまだ読んでいません」と答え、記者がビックリ(会場は爆笑)したという実話がありました。(某タレントというのは松本伊代だったと思います。)
「美しい国」「美しい日本」「英霊に誠を尽くす」「日本を守る」「国民を守る」「1ミリたりとも外国の侵略を許さない」「全ての国民が血を流す勇気をもたなければならない(稲田朋美)」「可及的速やかに」「可能なことは全て行う」・・・、さあ皆さん、オウムになって唱和しましょう!
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell