バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 哲学者の中には,自分の権力衝動が自らの形而上学を支配するのを許さないが、自らの倫理学においては自分の権力衝動に自由を与える者がいる。そうした哲学者のなかで最重要なのはニーチェであり,彼はキリスト教道徳を奴隷の道徳として拒絶し,その代りに英雄的支配者にふさわしい道徳を代置している。・・・。彼の見解によれば,民衆は自分達だけでは価値をもたず,ただ英雄の偉大さに対する手段としてのみ価値をもつものであり,英雄はもしも民衆に危害を加えることによって自己啓発を推し進めることができるのであれば、それをする権利を有している(ということである)。(ラッセルのニーチ批判)


Some philosophers do not allow their power impulses to dominate their metaphysics, but give them free rein in ethics. Of these, the most important is Nietzsche, who rejects Christian morality as that of slaves, and supplies in its place a morality suitable to heroic rulers. ... In his view, the herd have no value on their own account, but only as means to the greatness of the hero, who has a right to inflict injury upon them if thereby he can further his own self-development.
 Source: Bertrand Russell : Power, a new social analysis, 1938
 More info.: https://russell-j.com/beginner/POWER13_110.HTM

<寸言>
 ラッセルは大著『西洋哲学史』においても1章をさいて、ニーチェ哲学はヒトラーなどの全体主義者によって利用された「利用される内容を含んでいる)とニーチ批判をしています。これに対し、ニーチェを評価する人達は、ラッセルのニーチェ批判はニーチェ哲学/思想の「誤読」だと反論しています。ニーチェがキリスト教道徳や(それを信じる)大衆を罵倒している言葉に快感を覚える人が少なくないようです。日本にはニーチェ・ファンが多く、『超訳_ニーチェの言葉』(白鳥春彦・訳)などは100万部以上売れています。
 しかし、私にはそういった批判をする人こそ「ラッセルを誤読している」ように思われます。ラッセルは、(ニーチェにおいては)「権力衝動が自らの形而上学を支配するのを許さないが、自らの倫理学においては自分の権力衝動に自由を与えている」という言い方をしています。そういった批判をする人は「哲学と倫理学の区別」があまりできない人達であるように思われます。
 ニーチェの「超人思想(+大衆蔑視)」に共感する人がけっこういますが、そういう「共感する人達」もニーチェから見れば、蔑視・罵倒の対象である「大衆」の一員とみなされる可能性大です。私も若い頃ニーチェを(伝記も含めて)何冊か読んで刺激を受けましたが、ラッセルのニーチェ批判を読み、反省しました。

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