バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 大人(成人した者)は,いや青年でさえ,自分で考えたり感じたりできなくなるほど,父親あるいは母親によって,保護を受けすぎるようなことがあってはならない。こういったことは,親の個性が子供の個性よりも強い場合には,容易に起こる可能性がある。私は,稀な病的な事例は別として,息子が母親に,娘が父親に,特別に惹きつけられるという意味での「エディプス・コンプレックス」が存在するとは信じない。親の過度の影響は,それが存在する場合は,性別にかかわらず,子供と一番多くの関わりを持ってきた親 -通例,母親- によるものである。


An adult, and even an adolescent, ought not to be so overshadowed by either father or mother as to be unable to think or feel independently. This may easily happen if the personality of the parent is stronger than that of the child. I do not believe that there is, except in rare morbid cases, an "Oedipus Complex", in the sense of a special attraction of sons to mothers and daughters to fathers. The excessive influence of the parent, where it exists, will belong to the parent who has had most to do with the child --generally the mother-- without regard to difference of sex.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926
 More info.: https://russell-j.com/beginner/OE11-010.HTM

<寸言>
 フロイトの言う「エディプス・コンプレックス」の存在の否定です。意識下・潜在意識の影響が大きいことをラッセルも認めますが、フロイト理論の誤りについても、著書のなかで何度か指摘しています。その一例はフロイトのリビドー説(小児の母親に対する性愛)に対する批判です。少しだけ引用しておきます。

「精神分析学者(精神分析医)の中には,子供の遊びの中に性的象徴を見ようとしたものがいる(注:フロイトなど)。これは馬鹿らしい考え(たわごと)である,と私は確信している。幼年期の主な本能的な衝動は,性ではなくて,おとな(一人前)になりたいという欲望である。もっと正確に言うなら,力(権力)ヘの意志である。・・・。
 子供は,年長者と比べて自分がいかに弱いかを痛感しており,その人たちと対等になりたいと願っている。私の息子は,自分もいつかはおとなになるだろうこと,また,私もかつては子供であったことを知って,とても喜んだことを,覚えている。(即ち,)自分にも成功する見込みがあることを悟り,努力しようとしている様子が見てとれた。子供は,ごく幼いころから,年長者のすることを自分もやりたがるものであり,それは人のまねをする習慣によって明らかである。兄や姉は役に立つ。なぜなら,兄や姉の意図は理解できるし,彼らの能力はおとなの能力ほど手の届かないものではないからである。劣等感は,子供にあってはすこぶる強い。子供が正常で,正しい教育を受けている場合には,劣等感は努力ヘの刺激になるのに対して,抑圧されている場合には,不幸の原因になるかもしれない。」(ラッセル『教育論』第11章「愛情と同情」)
 https://russell-j.com/beginner/OE11-030.HTM

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