ラッセル英単語・熟語1500 |
ベンサム主義(功利主義)の歴史家の故エリー・アレヴィは,かつて,おおざっぱに言って人が自分の仕事に対して支払われる報酬は,その人が自分の仕事がどれだけの価値があるかと考えているもの(自己評価額)とちょうど同じであると主張した。私は,この言葉は著作家の場合は当てはまらない確信している。私の場合は,ある本が価値があると思えば思うほど,支払われる報酬は少ないということを,これまで常に見出している(気づいている)。
The late Elie Halevy, the historian of Benthamism, once maintained that, broadly speaking, what a man is paid for his work is what he himself believes it to be worth. I am sure this is not true of authors: I have always found, in my own case, that the more I thought a book was worth, the less I was paid for it.
Source: Bertrand Russell : Power, a new social analysis, 1938
More info.: https://russell-j.com/beginner/POWER06_270.HTM
<寸言>
学術論文執筆から得られる報酬はごくわずか(給与の一部としてのみ)ですが、ベストセラー作家の場合は、たいして内容のない本でも膨大な報酬が支払われます。それも、長文の作品よりも、1,2時間で楽に読める本のほうが対価が大きくなる傾向にあります。しかし、ベストセラーのほとんどは10年も立てばほとんど読まれなくなります。
ラッセルの場合も、画期的な著作である『プリンキピア・マテマティカ(数学原理)』は、ケンブリッジ大学出版部からの出版補助金だけでは足らず、ラッセルとホワイトヘッドもそれぞれ50ポンドずつ自己負担してなんとか出版できました。これに対し、「生計用の金儲け(pot-boiling)」をするために書いた一般向けの本である『幸福論』(1930年)は世界中で売れ(現在でも売れ続けており)、ラッセルに多額の印税をもたらしました。どちらの本が価値があるかは明らかです。(ただし、一般向けには、『幸福論』のほうがずっと価値があります。(笑))
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