バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 科学者は,自分が観察したことを他人に見せたい時には,顕微鏡や望遠鏡を用意する。即ち,外界に対しては変化を加えるが,観察者に対してはただ普通の視力を要求するだけである。これに反し,神秘主義者は,断食,呼吸訓練,あるいは外界の観察から注意深く身を引くことにより,観察者自身の中に変化が生れることを求める。・・・。
 私は科学の方法以外に真理に達する方法を認めることは出来ない。しかし,感情の領域に於ては,宗教にまで高まる経験の価値を否定しない。それらは,多くの善なるものへ導くと同時に,誤った信仰と結びつくことにより多くの悪へも導いてきた。このような誤った結びつきから解放される時,善い信仰だけが残ることが期待されるにちがいない。

The man of science, when he wishes others to see what he has seen, arranges his microscope or telescope ; that is to say, he makes changes in the external world, but demands of the observer only normal eyesight. The mystic, on the other hand, demands changes in the observer, by fasting, by breathing exercises, and by a careful abstention from external observation. ...
I cannot admit any method of arriving at truth except that of science, but in the realm of the emotions I do not deny the value of the experiences which have given rise to religion. Through association with false beliefs, they have led to much evil as well as good ; freed from this association, it may be hoped that the good alone will remain.
Source: Religion and Science, 1935, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_07-100.HTM

<寸言>
 論理的思考能力や説明能力の乏しい人は、自分の考えに強いこだわりをもっている場合には「自分はうまく説明できないだけで自分は正しい」と思い込みがちです。事柄によっては、神秘主義者と同じような態度をとる人もめずらしくありません。
 それでも他人に自分の考えを押し付けなければ社会に害悪をもたらすことはありませんが、そうでない場合は「迷惑な人」となってしまいます。
 新型コロナでも、気象変動の問題でも、いろいろな要素があって難しい問題ですが、「確信過剰(cocksure)」の人や狂信的な人がけっこういて困ったものです。
 そんなに自分の考えが正しいと思うならば、いろいろデータを揃えて論理的に説明すれば相手を説得できるはずですが、それができないと、相手は愚かだ(理解能力がない/偏見に支配されている)と断定しがちです。ここまでくると狂信まであと一歩です。

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