バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

すべての道学者(モラリスト)が,時代遅れの制度への回帰(注:a system which is as dead as the Dodo/Dodo 飛べなくなってしまった鳥ドードー)を説くことで満足しているかぎり,新しい自由に道徳性を与えたり,それに伴って生じる新しい義務を指摘したりすることは何びとつできない。私は,新しい制度が古い制度以上に抑制のない衝動への屈服(衝動に身をまかせる)を伴うとは考えないが,衝動を抑制する機会とそうする動機は,過去のものとは違っていなければならないと考えている。要するに,性道徳の問題全体を改めて徹底的に検討し直す必要がある。

So long as all the moralists content themselves with preaching a return to a system which is as dead as the Dodo, they can do nothing whatever to moralize the new freedom or to point out the new duties which it brings with it. I do not think that the new system, any more than the old, should involve unbridled yielding to impulse, but I think the occasions for restraining impulse and the motives for doing so will have to be different from what they have been in the past. In fact the whole problem of sexual morality needs thinking out afresh.
Source: Marriage and Morals, 1929
 More info.: https://russell-j.com/beginner/MM06-110.HTM

<寸言>
 ラッセルも1929年に出版した Marriage and Morals(『結婚と性道徳』/邦訳書名は通常『結婚論』)のなかで同性愛の問題を扱っています。しかし、扱っているのは LGBTQ のなかの L+G についてだけです(少なくともトランスジェンダーについては扱っていません)。
 ラッセルの時代における性道徳は、いわゆる「通常の?」男女間の問題として考えるだけでほとんどすませることができました。しかし、現代においては、L+G だけでなく、B, T, Q の問題も扱わなければいけなくなっており、ますます複雑化してきています。誰も自分の立場を基準・標準としてものを見てしまいますが、この問題においても、科学的理解と感受性や想像力の拡大の両方が必要です。

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