バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 実を言えば、「存在」は無用な(役に立たない)語であり、この無用な語が間違った仕方であるものに適用されると、それは一であるとともに多である,ということになりがちである。一は一つの特性(特質)であるが、それはもの(物)の特性(特質)ではなく、ある種の命題関数(函数)、つまり、次のような特性(特質)をもつ命題関数(函数)の特性(特質)である。(即ち)その関数を真にする x があり、しかも、もし y がその関数を真にするならば、y は x と同一である、という特性である。これがただ一つの値をもつ関数の定義であり、数1 はある種の関数がもつところの「ただ一つの値をもつ」という特性なのである。

The truth is that being is a useless word, and that the kind of things to which this useless word is applied by those who mistakenly use it are just as apt to be many as to be one. One is a characteristic, not of things, but of certain propositional functions, namely, of those propositional functions which have the following property: there is an x which makes the function true and which is such that, if y makes the function true, y is identical with x. This is the definition of unitary functions, and the number 1 is the property of being unitary which certain functions possess.
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_06-050.HTM

<寸言>
 「数える際に何ものかを1たらしめるものは、そのものの物理的性質ではなく、「これは何の一例であるか?(Of what is this an instance?)」という問いである」ということです。人間をとりあげれば、人間の例としては一人(1)であるが、目の例としては2個(2)となります。
 ラッセルは少し前の方で次のように言っています。

 「算術の哲学は、フレーゲ以前のすべての著者によって間違って考えられていた。彼らの全てが犯した誤まりはとても自然なものであった。彼らは数を数えることによって生ずるものであると考えた。しかし、一(ひとつ)として数えられるものは、同様に多(数)としても同様に(equally well 負けず劣らず)数えられるゆえに、絶望的な困難に陥った。・・・」

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