ラッセル英単語・熟語1500 |
私は今でも、分析はものをゆがめて見ることにはならないと信じている(注:分析は部分しか見ていないので方法論として誤っているという批判に対する反論)。私は今でもトートロジー(同義語反復=論理的真理)以外のいかなる命題も、もし仮にそれが真であるならば、事実への関係(注;事実の裏付けがあること)によって真であるということ、また事実一般は(人間などの)経験から独立しているものであると信じている。私は経験を欠いている宇宙(注;人間等の感覚器官を持っている生命体のいない宇宙など)において、不可能なものは何物も認めない。反対に、経験は宇宙の非常に小さな部分の極めて狭く宇宙的には取るに足らない面であると考ぇる。これらすべての事柄(問題)に関して、カントとヘーゲルの教えを捨てて以来、私の見解は変わっていない。
I still hold that an isolated truth may be quite true. I still hold that analysis is not falsification. I still hold that any proposition other than a tautology, if it is true, is true in virtue of a relation to fact, and that facts in general are independent of experience. I see nothing impossible in a universe devoid of experience. On the contrary, I think that experience is a very restricted and cosmically trivial aspect of a very tiny portion of the universe. On all these matters my views have not changed since I abandoned the teachings of Kant and Hegel.
Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertraned Russell
More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_05-170.HTM
<寸言>
人間は広大な宇宙に比べればちっぽけな存在だという謙虚さが必要だという思い。また、全能の神を想定し、神は特に人間に気をかけているなどと考えないほうがよく、「人間はちっぽけな存在だが宇宙について考えることができる特別な存在だ」などとうぬぼれて考えないほうがよいとの主張。
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