バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 ニュートンにとって,空間と時間は堅固な独立したものであった。(だが)それらは「時=空」によって置きかえられており、それは実体的なものではなく、関係の体系にすぎない。「物質」は一連の事象(出来事の集合)で置きかえられなければならなかった。力(の概念) -ニュートンの概念の中で最初に廃棄されなければならなかったもの- は、エネルギーの概念に置きかえられた。そしてエネルギーは、以前の物質の残骸の寄せ集めである青白い亡霊と区別できないものであることがわかっている(注:アインシュタインのエネルギーの法則:E = mc2)。原因 -物理学者が力と呼んだものの哲学的形態であったもの- もまた老衰してしまった。原因(という概念)は死んだとまでは私は言いはしないが、以前のような生気を全く失ってしまっている。

Space and time, for Newton, were solid, independent things. They have been replaced by space-time, which is not substantial but only a system of relations. Matter has had to be replaced by series of events. Force, which was the first of the Newtonian concepts to be abandoned, has been replaced by energy; and energy turns out to be indistinguishable from the pale ghost which is all that remains of matter. Cause, which was the philosophical form of what physicists called force, has also become decrepit. I will not admit that it is dead, but it has nothing like the vigour of its earlier days.
 Source: Bertrand Russell : My Philosophical Development, 1959
 More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_02-020.HTM

<寸言>
 哲学的思索をする上においては、現代物理学(相対性理論や量子力学)の考え方や成果を理解しておく必要があるとの主張です。「時=空」概念や物質の概念がまったく変わってしまっているのに、それを理解しないで、時間論や宇宙論や認識論などを論じていると的はずれな議論をしてしまう危険性があります。
 物事には必ず原因があるはずだ(原因-結果という因果関係)という考え方は、現在では、以前考えられていたような根拠はなくなってしまいました。
 もちろん、それは理論的な問題であり、日常生活においては、「何か原因があるはずだ」と考えます。要は、「必然的な因果関係などというものは存在しない」と言ったらよいでしょうか?

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