バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 自分が獄中であることを嫌に思ったことがたった一つあった。それはコレットに関係したものであった。私が彼女と恋に落ちてからちょうど一年後に,彼女は別のある男性と恋に落ちた。ただし,彼女は私との関係を変えることは望んでいなかった。・・・私が初めて嫉妬心を抱いた時,二週間の間,毎晩,ほとんど一睡もできなかった。そうしてついには,医師に睡眠薬を処方してもらってようやく睡眠をとることができた。・・・私達は1920年まで恋人同志であったが(注:ラッセルは1921年にドーラ・ブラックと正式に結婚),最初の年(1915年)の(二人の仲の)完全無欠さは,けっして取り戻すことがなかった。

There was only one thing that made me mind being in prison, and that was connected with Colette. Exactly a year after I had fallen in love with her, she fell in love with someone else, though she did not wish it to make any difference in her relations with me.... When I first had occasion to feel it (jealousy), it kept me awake almost the whole of every night for a fortnight, and at the end I only got sleep by getting a doctor to prescribe sleeping-draughts. ... We remained lovers until 1920, but we never recaptured the perfection of the frst year.
Source: Bertrand Russell: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB21-310.HTM

<寸言>
 ラッセルには嫉妬心という「人間的な」感情というものがないのではないかと批判的に言う人がいます。しかし、そうではありませんでした。
 ラッセルは『幸福論』(1930年刊)のなかでねたみや嫉妬心という感情にはメリットがないと書いていますが、それはラッセルの「実体験」にもとづく反省からのアドバイスだったというわけです。
 以下、New York American の1931年7月22号に掲載された「嫉妬」に関するラッセルのエッセイから少し引用しておきます。
 https://russell-j.com/JEALOUS.HTM

「嫉妬が社会的に見て褒められるべき感情だと考えられる限り,この種の感情を他人に引き起こすような行為を隠そうとするだろうし,その結果,人間の非常に密接な間柄に欺瞞が蔓延するだろう。人は結婚生活の破綻を望んでいるわけではなくても,法律上の夫婦間の貞節の義務に時折違反しがちであることを誰もが知っている。しかし誰でも自分についてはそのことを承知しているが、配偶者についてはほとんどの人がそれを信じたがらない。誰でも,二種類の性心理学を携えている。一つは自分自身に適用し得るものであり,もう一つは自分が愛している相手に適用し得るものである。両者は,水と油のように分け隔てられていて決して混じりあわない。私としては,人が自分自身に適用する心理学のほうが,妻に対して適用するものよりもより真理に近いと思う。また,間違っていることを信じることも,長い目で見れば,決してよいことではないと信ずる。」

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