ラッセル英単語・熟語1500 |
私の生涯で最も不幸な時期をグランチェスターで過ごした。・・・私は,幾晩も,長い夜を,いつまでも眠らずに,ベッドに横たわっていた。・・・私は,孤独から,非常に激しく,悩み苦しんだ。・・・ 私は,宗教書の著者たちが自分たちの信条から得ている'慰め'のうちに,独断的な教条によらない何かがあるにちがいないという希望をいだいて,テイラー(Jeremy Taylor, 1613-1667)の「聖なる死」といったような宗教書を何冊か読んだ。(また)純粋な瞑想の中に避難しようと試みた。即ち,「自由人の崇拝」(A Free Man's Worship)を執筆し始めた。散文のリズムを組み立てることは,私が真の慰めをいくらか見いだした唯一のものであった。
The most unhappy moments of my life were spent at Grantchester.... I lay awake through long nights, ... I suffered in a very intense form the loneliness ... I read religious books such, as Taylor's Holy Dying, in the hope that there might be something independent of dogma in the comfort which their authors derived from their beliefs. I tried to take refuge in pure contemplation; I began to write The Free Man's Worship. The construction of prose rhythms was the only thing in which I found any real consolation.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1 chap. 1
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB16-090.HTM
<寸言>
妻アリスをもはや愛することができなくなった、打ちひしがれたラッセル。
名文として有名な「自由人の崇拝( A Freeman's Worship )」はこのような心境・状況のもとに執筆されました。A Freeman's Worship は人気が高く、 YouTube 動画も多数アップロードされています。ただし、ラッセル自身は、「自由人の崇拝」は美文調なので余り良い文章とは思わないと、後に述懐しています。
https://youtu.be/3V4Z4txJA1Y
グランチェスター(ケンブリッジ大学から数マイルの場所)の家というのは、ラッセルが『プリンキピア・マテマティカ』をホワイトヘッドと共に執筆していた時に住んでいた,ホワイドヘッド夫妻の家(元製粉所の建物:Mill House)のことです。心臓病で苦悶するホワイトヘッド夫人の姿を目撃してラッセルが「改心」したのもこの家での出来事です。
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