バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 私達夫婦が帰宅した時,ホワイトヘッド夫人(Evelyn)は,これまでにない激痛の発作に苦しんでいた。(添付したイラストは,漫画家・梅田梅太郎氏のご厚意により,本ホームページに転載させていただいています。梅田氏のホームページには,ラッセル以外の漫画も多数掲載されていましたが,そのサイトはなくなってしまっています。梅田さんの消息についてご存知の方がおられましたら,ご連絡ください。) 彼女は,苦悶の壁によって,全ての人や全てのものから遮断されてしまっているかのように見え,突如として,人間一人一人の魂は孤独であるという感情が私を圧倒した。結婚してから,私の情緒生活は'穏やか'であるとともに'浅薄な'ものであった。深遠な問題はすべて忘れており,軽薄な如才なさに満足していた。(しかし)突然,大地が私の足下で崩れ去るように思え,そうしてそれ以前と全く異なった世界に自分がいるのを発見した。


When we came home, we found Mrs Whitehead undergoing an unusually severe bout of pain. She seemed cut off from everyone and everything by walls of agony, and the sense of the solitude of each human soul suddenly overwhelmed me. Ever since my marriage, my emotional life had been calm and superficial. I had forgotten all the deeper issues, and had been content with flippant cleverness. Suddenly the ground seemed to give way beneath me, and I found myself in quite another region.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1 chap. 1
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB16-030.HTM

<寸言>
 1901年の春学期(1月5日から3月25日の期間)に起こったこの出来事がラッセルの精神を激変させることになります。
 それまでは、自由主義的帝国主義の考えを抱いており、大英帝国の対外政策に肯定的でした。しかし、この「回心」(の体験)によって、弱者によりそうようになり、南ア戦争にも反対するようになりました。

 ホワイトヘッドは金銭感覚があまりなく、ホワイトヘッド夫人はやりくりに苦労していました。そこでラッセルは、何度か、ホワイトヘッドには内緒で、夫人を経済的に助けていました。しかし、心臓病の激痛により一人苦しむホワイトヘッド夫人を助けることができず、ただ眺めているだけしかできませんでした。

 ホワイトヘッド夫人の苦しむ姿を見続け、結局人間は孤独なんだと実感し、「人間関係において,人は,一人一人の人間の内なる孤独の核心にふれあうべきであり,語りかけるべきである( in human relations one should penetrate to the core of loneliness in each person and speak to that.)」と思うようになりました。
 以後、基本的な人間観は変わらなかったと言ってよいと思われます。

 
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