バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 '...。1929年に出版された『結婚と道徳』中で書かれているようなやり方で、結婚した人達が、ともに幸福な生活を送り、子供達を健全に育むことができると、あなたは現在でも考えておられるでしょうか。・・・。私の妻はあなたの哲学を信奉しています。しかし私は・・・

 ラッセルからの返事(1959年6月10日付)
 拝復
 私は現在、決定的な意見は何一つ持っていません。・・・
 嫉妬心が良い夫婦関係を不可能にするその程度は個人個人でかなり違います。それゆえ、私は一般にあてはまるようなルールを作ることはできないと思います。子供達のために結婚を継続すべきかどうかという問題は、その両親の間の親密さの度合いによって決まると考えます。もし彼等がお互いを嫌い、喧嘩しがちであるならば、離婚のほうが子供達のためにはよりよいと思います。しかし、もし彼等が親密な関係を保つことができるならば、通常、結婚をそのまま継続していくことのほうがよりよいでしょう。とはいっても、その夫あるいは妻のどちらかが、夫婦以外の他の人間に対し、深くかつ押さえきれない愛情を懐いている場合には、その気持ちに抗するのは大変害になると思います。・・・

'... Do you still feel that married people can live happily together and raise stable children in the manner you prescribed in 1929 (in the Bantam Books edition of Marriage and Morals).... Or is it possible that your ideas have changed somewhat during the past thirty years?... my wife believes in your philosophy and would like our marriage to continue on that basis.... I disagree on this point of a happy marriage with both parties having extra-marital sexual relations.

Dear Sir, (June 10, 1959),
I have not at present any decided opinioin. ... At the same time, where a strong affection survives between husband and wife, I think it should be possible for the marriage to remain valuable in spite of fidelity. Individuals differ enormously in the degree to which jealousy makes good relations impossibe, and for this reason, I do not think that one can make general rules. ... I think, however, that when the husband or the wife feels a very deep and very overwhelming love for another person, there may be so much harm in resisting it as to outweigh any possible good.
Source: Dear Bertrand Russell, 1969
More info.: https://russell-j.com/beginner/DBR4-32.HTM

<寸言>
 ラッセルは生涯4度結婚しましたが、最初の結婚がうまくいっていれば、再婚を繰り返すことはなかったかも知れません。ラッセルは、両親が4歳までに亡くなり、その後、18歳でケンブリッジ大学にあがるまで、祖母に育てられました。祖母は孫に対し愛情は持っていても、やはり実の両親とは違います。兄も9つも離れており仲が良いとは言えず、孤独な子供時代や青春時代を過ごしました。
 そのような育ち方をしたことも影響して、最初の恋愛は熱烈なものになりました。5歳年上のアメリカ人女性と恋愛をし、家族(祖母)の反対を押し切って結婚しました。
 恋愛の渦中においては、痘痕も靨(あばたもえくぼ)ですが、時が進むにつれ、お互い、ありのままの姿を見るようになります。
 また、ラッセルは、若い頃孤独でしたので、自分の子供がほしいという感情が強くありました。ラッセルの家族は、結婚を阻止するために、かかりつけの医者と共謀して、ラッセル家には精神異常者が多く、ラッセルも結婚するとそういった子供が生まれる確率が高いと言って脅かしました。しかし、別の医者と相談したところ、アリスは子供を産めない体であることがわかり、それなら問題ないと結婚に踏み切りました。そうして、ラッセルは、子供を欲しいという気持ちが沸き起こるたびに自分を抑圧しました。
 そういった努力も限界があり、二人の間に隙間風が入ってくると、相手に対する熱烈な恋愛感情もしぼんでいきました。
 ラッセルも最初の妻アリスも自由恋愛論者でした。つまり、相手に対し恋愛感情がなくなった場合は、それを隠して、さも恋愛感情があるように「装う」ことはよくないという考え方を持っていました。アリスのほうがラッセルよりも強く自由恋愛を主張していました。しかし、実際に二人の間がうまくいかなくなると、アリスはとても自由恋愛論者とは言えない反応をしました。しかし、その時にはもう遅すぎました。
 1911年に別居しましたが、法的に離婚が成立したのは1921年のことでした。

 
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