ラッセル英単語・熟語1500 |
私が彼女(Beatrice Webb, 1858-1943)に好意を抱いたのは,彼女が個人的に愛情をもっている人々に対して,温かく,親切な友人であったからである。しかし,彼女の信仰や帝国主義や国家崇拝については同意できなかった。この最後の国家崇拝は,フェビアン主義(前進的社会主義団体であるフェビアン協会の思想)に欠くことができないものであった。この国家主義が,ウェッブ夫妻とバーナード・ショーの両者を,ムッソリーニやヒットラーに対するあらゆる不当な寛容へと導き,ついには,ソビエト政府へのかなり馬鹿げた追従に導いたのである。
I liked her (Beatrice Webb) because she was a warm and kind friend to those for whom she had a personal affection, but I disagreed with her about religion, about imperialism, and about the worship of the State. This last was of the essence of Fabianism. It led both the Webbs and also Shaw into what I thought all undue tolerance of Mussolini and Hitler, and ultimately into a rather absurd adulation of the Soviet Government.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1 chap. 1
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB14-050.HTM
<寸言>
ベアトリス・ウェブは1858年の生まれですので、ラッセルよりも14歳年上です。従って、ラッセルが London School of Economics で1896年に講義をした時には、ラッセルは24歳、ベアトリスは38歳だったということになります。
『ラッセル自伝』の記述(ベアトリスが気後れしそうになった時に自分に言い聞かせた言葉:『あなたは,世界中で最も賢い国の,最も賢い階級の,最も賢い家庭の,最も賢い一員です,そんなあなたがどうして恐れる必要がありましょう!』」)を読むと、ベアトリスも貴族の家系だったように誤解しそうですが、ベアトリスの父親は実業家でした。
因みに、夫のシドニー・ウェッブはその業績により男爵の爵位が授けられ、ベアトリスも男爵夫人になりました。しかし、二人の間に子供はいなかったので、一代限りの貴族で終わりました。
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