バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 各個人が当然持つべき程度の個人的創意と柔軟性を保持すべきだとしたら,個人は皆一つの厳格な鋳型におし込まれてはならない。即ち,別の喩えでいえば,人間は全て一つの軍隊をなすように訓練されてはならない。多様性は,単一の福音を全ての人間が受けとることを排除するにもかかわらず,必要不可欠のものである。しかしこのような教え(人間の多様性の重要性)を説くことは,困難な時代にはとりわけ骨の折れることである。しかも,ある種の苦い教訓が悲劇的な経験から学びとられるまで,多分実際の効果を持ち得ないことだろう。


And if individuals are to retain that measure of initiative and flexibility which they ought to have, they must not be all forced into one rigid mould; or, to change the metaphor, all drilled into one army. Diversity is essential in spite of the fact that it precludes universal acceptance of a single gospel. But to preach such a doctrine is difficult especially in arduous times. And perhaps it cannot be effective until some bitter lessons have been learned by tragic experience.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 4
 More info.:https://russell-j.com/beginner/AB-POST02.HTM

<寸言>
 多様性を理解していない、あるいは体現していない人々が多様性を説く矛盾。スピーチのなかでオリンピックの精神を引用してみても、それが単なる掛詞であり、リップサービスであれば興ざめです。
 権力や権限を持っている、多様性とはほど遠い人達が、オリンピックの実施に関わる重要な責任者(ディレクター、公式作曲家、その他)を選んだ結果、競技が始まる前に、次から次へと、それらの責任者の適格性に疑問符がつけられています。
 やはり、ラッセルが言うように、「多様性の重視を言ってみても・・・ある種の苦い教訓を悲劇的な経験から学びとるまで,多分実際の効果を持ち得ない」ということになりそうです。そうして、「多様性に対する反面教師のオンパレード」によって多様性の重要性が再認識されたことが「東京オリンピックのレガシー」になるかも知れません。

【★ 本日を持って『ラッセル自伝』全3巻からの(年代を追っての)引用が終了しました。今後は、『自伝』の最初に戻って「落ち穂拾い」を行い、以下のページに掲載してある「ラッセル年譜」を充実させていきたいと考えています。】
https://russell-j.com/R4HOME.HTM

 
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