バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


ラッセル英単語・熟語1500
 たとえば記憶に対応して、脳にいくらかの物理的修正(注:何かを新しく記憶すれば脳にそれに対応した痕跡が残るはず)がなければならないし、精神生活は脳組織の物理的特質(特性)と結びついていなければならない。実際、我々の知識がもっと豊富であったならば、物理学的陳述と心理学的陳述とは同じことの違った言い方にすぎないことがわかるであろう。精神(心)の脳(物質)への依存、あるいは,脳(物質)の精神への依存についての古くからの諸問題はこのようにして,言語的利便性へと還元される(注:どちらの説明の仕方をしてもよいということ)。我々が脳(物質としての)についてより知っている場合には、精神を従属的なものとみることが便利であろうが、精神についてより知っている場合には、脳(物質としての)を従属的なものとして見る方が便利であろう。どちらにしても実質的な事実は同じであり、その相違は単に我々の知識の程度に関するものだけである。

Corresponding to memory, for example, there must be some physical modifying of the brain, and mental life must be connected with physical properties of the brain tissue. In fact, if we had more knowledge, the physical and psychological statements would be seen to be merely different ways of saying the same thing. The ancient question of the dependence of mind on brain, or brain on mind, is thus reduced to linguistic convenience. In cases where we know more about the brain it will be convenient to regard the mind as dependent, but in cases where we know more about the mind it will be convenient to regard the brain as dependent. In either case, the substantial facts are the same, and the difference is only as to the degree of our knowledge.
 Source: Bertrand Russell : Mind and Matter (1950年11月?)
 More info.: https://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter160.HTM

<寸言>
 物(物質)や心(精神)に「実体」があると考えている人は、ラッセルが何を言っているかわからないかも知れません。物(物質)については量子力学が「物の実体」などあるとは言えないことを示しています。相対性理論でも e=mc2(二乗)ということで、物質とエネルギーは等価であることを証明しています。
 心(精神)についても、死んだ後も「魂」は残ると信じたい人は勝手に信じればよいですが、それなら、人類、あるいは生命(単細胞)が誕生する前から、我々の「魂」が存在したと考えないといけなくなってしまいます。さらに、ビックバンの時から「魂」は存在しており、従って「神様がこの世を創造した(また)神に似せて神は人間を創った」と考えないといけなくなってしまいそうです。
 いや、さらに、善なる神ではなく、悪の神(悪魔)がこの世を創造したという主張も反駁できなくなってしまいそうです。
 閑話休題。
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