バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 物理法則(物理学の法則)はミルの因果法則のように,Aは常にBによって随伴される(Aならば必ずB)とは決して言わない。物理法則は,Aが現存する時には,ある一定方向の変化が存在することを主張するだけである。A(自身)もまた変化するので,変化の方向もそれ自身絶えず変化し続けている。因果法則は「AはBを惹き起こす」という形をしているという考えはあまりに原子(論)的であり,変化の連続性を想像上理解しているいかなる人によっても受け入れられてこなかった(現在でも受け入れられていない)。

The laws of physics never state, as Mill's causal laws do, that A is always followed by B. They assert only that when A is present, there will be certain directions of change; since A also changes, the directions of change are themselves continually changing. The notion that causal laws are of the form "A causes B" is altogether too atomic, and could never have been entertained by anybody who had imaginatively apprehended the continuity of change.
 Source: Bertrand Russell : John Stuart Mill, 1955.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/1097_JSM-030.HTM

<寸言>
 相対性理論によれば、絶対軸や宇宙の中心なんてものはないのだから、「太陽が地球の周りを回る」と言っても「地球が太陽の周りを回る」といってもよいが「地球が太陽の周りを回る」という「表現」のほうがより適切だ(注:そのほうが、例えば太陽系全体の動きの説明がより容易)、ということになります。
 そのことは理解していても、我々は日常的には「太陽がのぼった」「太陽が沈んだ」というように地球中心の「表現」を多用します。
 しかし、物理法則のような理論においては厳密に考え、表現する必要があります。

 それはさておき、添付画像内(左下)のJ.S.ミルの言葉は面白いですね。
 「保守派(conservatives)の全ては愚かな人たちだというのは真実ではないが、保守派の大部分は愚かだというのは真実である。」
 「私は真なる保守だ!」と自信を持っている人達に敬意を払うなら、「保守派」というより「守旧派」と言ったほうがよいかも知れません。しかし、科学研究においては「保守派」には何の価値もありません。保守派で固められている自民党や自民党支持層には(科学技術は重視しても)「科学的な考え方」を軽視する(「真理探求」に対する敬意がない)人が多いのはなげかわしいことです。

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