バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 人事(=人間社会の諸々の事柄)において最も知る価値があり、最も称賛すべきことは、社会よりもむしろ個人に関係したものである,と私は考えます。ある集団に含まれる数人の個々人を越えた価値をその人間集団(自体)が独立して持っている、とは私は信じません(注:個人にまず価値がなければ、個人の集まりである集団にも価値はない。たとえば、国家があってこその個人ではなく、個人があってこその国家)。歴史(書)が国家や、民族、教会、あるいは他の集団的実体を讃美するために個人の価値を無視することは危険であると考えます。

I think that what is most worthy to be known and admired in human affairs has to do with individuals rather than with communities. I do not believe in the independent value of a collection of human beings over and above the value contained in their several lives, and I think it is dangerous if history neglects individual value in order to glorify a state, a nation, a church, or any other such collective entity.
 Source: Bertrand Russell : History as an art (1954)
 More info.: https://russell-j.com/beginner/1057_HasA-160.HTM

<寸言>
 個人は重要だと思っていても、他人にはその考えを適用しないで、所属する組織のほうを重視してしまうことがよくあります。戦争中にはよく見られる現象ですが、平和な時代においても、たとえば、日本における過労死の問題などにもあらわれています。個人の命を犠牲にしてまで自分の属する組織(官庁・省庁、企業、国家、その他)に従順である必要はないのに、あいかわらず過労死はなくなりません。みな口では「死ぬほど仕事をする必要はない」と言いながら、仕事が集中している同僚を助けてあげないことがままあります。
 新型コロナ対応においては、個人の主張や欲望を抑えて社会的規範に従うという日本社会の良い面もあらわれています。しかし、報道の自由度、男女差別、衆議院議員の1/3が世襲議員(注:安倍氏と石破氏が競った自民党総裁選では立候補した5人の議員が全員が世襲議員でした!!)、思いやりを持て(忖度せよ!)など、集団・組織重視の悪い面が多く存在し続けています。

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