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Message from Bertrand Russell to the International Conference of Parliamentarians in Cairo, Feb. 1970.
中東における危機の発展は、危険であり、かつ、教訓的である。20年以上にもわたって、イスラエルは軍事力を増強してきた。各段階の増強がおわるたびごとに、イスラエルは'理性'に訴え、'交渉'を提案してきた。これは、帝国主義強国の伝統的なやりかたである。なぜならば、帝国主義強国は、すでに暴力でうばいとったものを、できるだけすくない障害をもって、統合したいからである。ひとつひとつの新しい征服地は、ちからずくの交渉の新しい基礎となるのである。そして、この交渉では、それ以前の侵略の不正は、無視されてしまうのである。イスラエルがおこなった侵略は、非難されなければならない。その理由は、ただ、いかなる国家も外国の領土を併合する権利をもっていないから、ということだけではない。さらに、あらゆる領土拡張を、どれだけまでの侵略ならば世界中がだまって見ているだろうか、という限界を知る実験的こころみとしているからである。
... The development of the crisis in the Middle East is both dangerous and instructive. For over 20 years Israel has expanded by force of arms. After every stage in this expansion Israel has appealed to “reason” and has suggested “negotiations”. This is the traditional role of the imperial power, because it wishes to consolidate with the least difficulty what it has already taken by violence. Every new conquest becomes the new basis of the proposed negotiation from strength, which ignores the injustice of the previous aggression. The aggression committed by Israel must be condemned, not only because no state has the right to annexe foreign territory, but because every expansion is an experiment to discover how much more aggression the world will tolerate. ...
Source: Message from Bertrand Russell to the International Conference of Parliamentarians in Cairo, Feb. 1970 (Bertrand Russell's last message, written Jan. 31, 1970)
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<寸言>
このラッセルのメッセージは、1970年1月31日(ラッセル97歳8ヶ月)に書かれ、ラッセルが亡くなった日(1970年2月2日)の翌日の2月3日に、カイロで開催された国会議員の国際会議で読み上げられました。
ラッセルが97歳で死ぬまで頭がはっきりしていた証拠です。ほぼ98歳でこのようなメッセージを書いて世界に影響を与える人物は現在いるでしょうか? ほとんどまともなことをしゃべれない二階幹事長(80歳)と比べると、その差に愕然とします。
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#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell