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最近20年間(注:1949年にパトリシアと離婚してから『ラッセル自伝』第3巻を執筆していた1969年まで)の、将来に対する暗い不安(懸念)と予感を切り抜けるにあたってなによりも重要なことは,私がエディス・フィンチ(注:基本的には在野の研究者だが、Bryn Mawr 女子大でも英文学を講義)に恋し,彼女が私に恋していたということ(事実)である。・・・。 私達の仲は急速に深まり,すぐに,もはや大西洋を隔てて別れていることに堪えられなくなった。彼女はロンドンに移り住んだ。そうして,私は(ロンドン郊外の)リッチモンドに住んでいたので,私達はしばしば会った。その結果として生じた二人の時間は限りなく楽しいものであった。
More important than anything in pulling me through the dark apprehensions and premonitions of these last two decades is the fact that I had fallen in love with Edith Finch and she with me.... Our friendship ripened quickly, and soon we could no longer bear to be parted by the Atlantic. She settled in London, and, as I lived at Richmond, we met frequently. The resulting time was infinitely delightful.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB32-010.HTM
<寸言>
Edith Finch (1900-1978)はニューヨークで生まれ育ち、Bryn Mawr College を1922年に卒業した後、オクスフォード大学の St. Hilda's Collegeで学び、1925年と1926年に、何の学位かわかりませんが、2つの学位を取得しています。
エディスは 1920年代に Bryn Mawr で英文学を教えていたことはありますが、大学の常勤職にはつかず、作家及び在野の研究者として米国やヨーロッパで活躍しました。
ラッセルはエディスとルーシー・ドネリー(=ラッセルの最初の妻アリスの親友)を介して1930年代に初めて出会っており、『ラッセル自伝』にはラッセルがルーシーとかわした手紙がたくさん収録されています。
ラッセルとエディスは1952年12月に結婚(ラッセル78歳、エディス52歳)し、ラッセルが1970年2月2日に亡くなるまで、仲良く、幸福に暮らしました。
ラッセルは、1967年に出版した『ラッセル自伝』第1巻の冒頭に、次の詩をエディスに捧げています。
To Edith
Through the long years
I sought peace,
I found ecstasy, I found anguish,
I found madness,
I found loneliness,
I found the solitary pain that gnaws the heart,
But peace I did not find.
Now, old & near my end,
I have known you,
And, knowing you,
I have found both ecstasy & peace,
I know rest,
After so many lonely years.
I know what life & love may be,
Now, if I sleep,
I shall sleep fulfilled.
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