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しかし,所有欲は資本主義制度の主要な源泉ですが,飢えを克服した後も生き残る動機のうちで一番強力なものでは決してありません。競争心(対抗心)はもっとより強い動機です。・・・。英国政府が,とても愚かにも,スピットヘッドにおける観艦式に参列するようにカイゼル(注:ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世)を招いた時,彼の心にわき起こった考えは我々英国民が意図していたものではありませんでした。彼が考えたのは「私も,おばあさま(注:ヴィルヘルム2世の祖母のビクトリア女王)の海軍に負けない海軍を持たなければならない」ということでした。この思いから,その後我々がその後に被った全ての問題(注:第一次大戦と第二次大戦が主なもの)が生じました。
But acquisitiveness, although it is the mainspring of the capitalist system, is by no means the most powerful of the motives that survive the conquest of hunger. Rivalry is a much stronger motive. ... When the British Government very unwisely allowed the Kaiser to be present at a naval review at Spithead, the thought which arose in his mind was not the one which we had intended. What he thought was, "I must have a Navy as good as Grandmamma's". And from this thought have sprung all our subsequent troubles
Source: What Desires Politically Important? 1950
More info.: https://russell-j.com/beginner/0944WDPI-050.HTM
<寸言>
充足されると(満たされると)しぼんでゆく欲求と、なかなか満たされることなく、どんどん膨らんでゆく欲求。一部の精力的な人においては、権力欲や自己顕示欲や競争心は、どんどん肥大化してゆき、敗北しない限り治まることがない。
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