ラッセル関係電子書籍一覧 |
ドイツ政府の敵側(注:連合国側)は,ドイツ人の間で政府に対する不服従行為をしなかったことを(ドイツ人に)有罪の宣告をする理由(弁解)として申し立てたが,もしそのような不服従行為をする兵士が自分たちの側(味方)にいたとしたらその者を(軍法会議にかけて)死刑にしてしまったことだろう。彼らが有罪の宣告をした多くのドイツ人は,そのような犯罪行為はただ上官の命令で行ったに過ぎないと抗弁したが,彼らはその抗弁を受けつけようとしなかった。ニュールンベルグ裁判の判事たちは,ドイツ人たちはドイツ政府に対する不服従行為を人間の品位と人道の名において行うべきであったという信念をもっていた。しかしもし彼らが,自分の国の者を裁いているのであって,敵国人を裁いているのではなかったとしたら,そういうふうには考えなかったであろう。
The enemies of the German Government would have punished with death any soldier among themselves who had practised the sort of civil disobedience the lack of which among Germans they pleaded as an excuse for condemning Germans. They refused to accept the plea made by many of those whom they condemned that they had committed criminal acts only under command of those in superior authority. The judges of Nuremberg believed that the Germans should have committed civil disobedience in the name of decency and humanity. This is little likely to have been their view if they had been judging their own countrymen and not their enemies.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB31-160.HTM
<寸言>
人間の勝手さ、といって悪ければ、制限のない国家主権の危険な側面がよく現れています。
過去2回の世界戦争を経験して、戦争の悲惨さ、無意味さを世界中の人々が十分認識したはずですが、第二次世界大戦後も多くの戦争が起こってきました。戦争する権利を国家がもっている限り戦争はなくなりません。
秀吉が刀狩りをやったように、米中ソを軍事的に押させることができる世界連邦政府のようなものが各国の兵器を取り上げない限り(ただし、国内治安を保つのに必要な兵器は除く)、戦争はなくなりません。そういった事態は、核戦争でも起こらない限り、実現しないのでしょうか?
ラッセル関係電子書籍一覧
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell