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熱心な道徳家のなかには義務や道徳原理のために(は)欲求を抑制することは可能であるという趣旨の学説を提唱する者がいますが,まったく誤っています。私がこれは誤っていると言うのは,誰も義務感から行動しないということではなくて,義務に忠実であることを欲求する(望む)からという以外には義務は彼を拘束する力(義務を守らせる力)を持たないからです。人がやろうとしていることを知りたければ,ただ単にあるいは主として,彼らの物的な状況を知らなければならないだけでなく,むしろ,彼らのいろいろな欲求の全体をそれぞれの欲求の強弱の程度とともに(相対的な強さとともに),知らなければなりません。
There is a wholly fallacious theory advanced by some earnest moralists to the effect that it is possible to resist desire in the interests of duty and moral principle. I say this is fallacious, not because no man ever acts from a sense of duty, but because duty has no hold on him unless he desires to be dutiful. If you wish to know what men will do, you must know not only, or principally, their material circumstances, but rather the whole system of their desires with their relative strengths.
Source: What Desires Politically Important? 1950
More info.: https://russell-j.com/beginner/0944WDPI-020.HTM
<寸言>
財務省の佐川局長(当時)の場合は、保身をしたいという欲求(本当のことを言ったら地位を失ってしまうという恐怖心あり)が道徳的でありたいという欲求よりもはるかに強かったわけですね。保身に対する欲求よりも、ひどい嘘つきにはなりたくないという欲求があれば、あのような嘘おの答弁を55回もするはずはありません。 今国会や巷で連日話題になっている、総務省の接待官僚の皆様も保身に対する欲求が相当強いことは疑い得ません。ここまで頑張って、次官や審議官への道が見えてきたのに、ここでこけては・・・・。
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