ラッセル関係電子書籍一覧 |
政治的に有害である誤まった信念を生じさせるもう一つの情熱は高慢(うぬぼれ) -国籍,人種,性,階級,あるいは,信条に対する高慢- である。私が小さい時,フランスはいまだ英国の伝統的な敵国とみなされており,また、1人の英国人は3人のフランス人をやっつけることができるということを疑問の余地のな い真理である,と思った。(だが)ドイツが敵国となると,この信念は修正され,英国人はフランス人が蛙を喰う傾向があるのを嘲笑することを止めてしまった(注:フランスはドイツと戦ってくれる「味方」になったため)。しかし、英国政府のさまざまな努力にもかかわらず,フランス人を自分たちと同等な人間であると本当に考えるようになった英国人はごくわずかしかいなかった,と私は思う。
Another passion which gives rise to false beliefs that are politically harmful is pride - pride of nationality, race, sex, class, or creed. When I was young France was still regarded as the traditional enemy of England, and I gathered as an unquestionable truth that one Englishman could defeat three Frenchmen. When Germany became the enemy this belief was modified and English people ceased to mention derisively the French propensity for eating frogs. But in spite of governmental efforts, I think few Englishmen succeeded in genuinely regarding the French as their equals.
Source: Bertrand Russell, : Ideas That Have Harmed Mankind,1946
More info.: https://russell-j.com/beginner/0861HARM-110.HTM
<寸言>
大人になれば自分の頭で考えるようになります。しかし、子どもの頃は、家族関係が問題なければ、子どもは大人の偏見や発想法を身につけるようになり、親と子の関係が悪いと、子どもは親の考え方や感性と反対の考えや感情を抱くことになりやすくなります。
同様に、自分がどの国に住んでいるか、どのような階層・階級に属しているかも、自分が属している環境や時代の影響を受けることになります。
そのこと自体はあたりまえのことで問題はあるとは言えないですが、望ましいのはそういう影響を受けることを自覚しつつ、(今は日本人だが)自分がイギリス人やフランス人(の立場)だったらどう思うだろうか、あるいは韓国人や中国人(の立場)だったらどう思うだろうか? といった思考実験をしてみることは大切だろうと思われます。
ラッセル関係電子書籍一覧
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell