バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 私は,多くの自由主義的な人たちが,訴訟事件(裁判)になった時に裁判所が公正な判決を行うかぎりは大丈夫だと信じているのを,(経験から)気づいている。だがこれは全く非現実的である。たとえば,ある教授が祖国に忠実でないという誤った告発によって解雇されるという,決して仮定の問題とはいえない場合をとってみよう。彼が幸い裕福な友人を持っていれば,この攻撃が間違っていることを法廷で決着できるだろうが,決着するまでにおそらく長い年月がかかり,その間に飢えるかあるいは慈善に頼ることになるだろう。ついには、彼はマークされた人物(要注意人物)となる。知恵をつけた大学当局は,彼は講義がへたで、研究も十分やっていない(など)と言い出すだろう。こうして,再び彼は解雇され,今度は補償もなく,しかもほとんど雇ってもらえる見込がないことに気づくことになるだろう。

I have found among many liberal-minded people a belief that all is well so long as the law courts decide rightly when a case comes before them. This is entirely unrealistic. Suppose, for example, to take a by no means hypothetical case, that a professor is dismissed on a false charge of disloyalty. He may, if he happens to have rich friends, be able to establish in court that the charge was false, but this will probably take years during which he will starve or depend on charity. At the end he is a marked man. The university authorities, having learned wisdom, will say that he is a bad lecturer and does insufficient research. He will find himself again dismissed, this time without redress and with little hope of employment elsewhere.
 Source: Bertrand Russell, : Symptoms of George Orwell's 1984
 More info.: https://russell-j.com/beginner/070_SoO-050.HTM

<寸言>
 現代の日本の著名な大学では、大学教員についてはほとんどこのようなことはないでしょうが、余り有名ではない、ワンマン理事長が大学を牛耳っているところでは、時々こういった不当解雇が話題になります。解雇までいかなくても、最近、旭川医科大学では、長年に渡って権力をにぎってきた学長が、従順でない病院長を病院長の職から一方的に解雇したとのニュースが話題になりました。
 長年権力をもってきた人間は暴走したり腐敗したりするというのは、どの世界にもあることでめずらしくないですが、それがわかっていながらそういった人物をあいかわらずみんなで生み出してしまっています。

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