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ジョージ・オーウェル(1903-1950)の『1984年』は,まさに読者を戦慄させた,身の毛のよだつような本である。けれども、この本は,疑いもなく、著者が意図した効果(影響)をもたなかった。・・・。読者は,むしろ,その小説が与える恐怖による身震いを楽しみ,次のように考えた。「いや,もちろん,ロシアを除いて決してそんなにひどくはならないだろう。オーウェル(著者)が陰気臭さを楽しんでいたのはあきらかだ。真面目にとらずに我々読者も楽しむことにしよう。」 こういった心地よい欺瞞(虚偽)で自らを慰め,オーウェルの予言が現実のものとなる道を歩んできたのである。
George Orwell's 1984 is a gruesome book which duly made its readers shudder. It did not, however, have the effect which no doubt its author intended. ... They rather enjoyed the frisson that its horrors gave them and thought: "Oh well, of course it will never be as bad as that except in Russia! Obviously the author enjoys gloom; and so do we, as long as we don't take it seriously." Having soothed themselves with these comfortable falsehoods, people proceeded on their way to make Orwell's prognostications come true.
Source: Bertrand Russell : Symptoms of Orwell's 1984
More info.: https://russell-j.com/beginner/1070_SoO-010.HTM
<寸言>
科学技術の発達はすさまじく、それを善用しうまく活用できれば、人類の前途は明るいと期待することができます。しかし、科学技術は「諸刃の剣」のようなところがあり、権力者が悪用すれば、オーウェルが想像し描いた「デストピア」の出現もあながち否定できません。
もちろん、人類もそれほど愚かではないでしょうから、民主主義が普及しつつある世界においては、権力者による強制は人々の反抗によって除去することができます。
しかし、人類に安全・安心をもたらすために国家が強制力を発揮するということにおいては、たとえば新型コロナウィルスへの対応に象徴されるように、中国におけるような人権を大幅に制限した上での「成功」もあれば、自由を何よりも尊重するフランス人のはげしい抵抗運動による「混乱」や「暴動」もあります。
そうして、国家や社会を安定させ、犯罪を減らして安心・安全に暮らすためには、たとえば、「出産時に赤ん坊のDNAを採取しデータベースに登録し、国民総背番号とリンクさせれば、犯罪を大幅に減らせる!!」ということで、それを認める法律を制定する国が出てきたりして・・・?
現在のところそのようなことには強い反対があるでしょうが、世界の人口が100億を超え、食糧危機が顕在化し、いろいろなところで混乱や暴動が起こるようになれば、そういったことを試みる国も現れてきそうです。まず、イスラエル、それとも中国・・・?
http://www.ntslibrary.com/PDF%20Books/History%20of%20Western%20Philosophy.pdf
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