バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 「上品」な人であるためには,現実との粗野な接触から保護されているという必要があり,その保護をしている人々は,彼らが保とうとするところの「上品」さを共有することを期待できない。例えば,大勢の黒人労働者を輸送している大洋航海船が難波した場合を想像してみよう。一等(室)の婦人の乗客が −多分みな上品な婦人たちであろうが− まず救助されるだろう。これを可能にするためには,(救命)ボートを黒人の労働者がどっと押し寄せないように監督している男たちがいなければならない,そして,こういった人々は,「上品」なやりかたで成功するだろうことはありそうにない。

To be a nice person, it is necessary to be protected from crude contact with reality, and those who do the protecting cannot be expected to share the niceness that they preserve. Imagine, for example, a wreck on a liner which is transporting a number of colored laborers; the first-class female passengers, all of whom are presumably nice women, will be saved first; but in order that this may happen, there must be men who keep the colored laborers from swamping the boat, and it is unlikely that these men will be able to succeed by nice methods.
 Source: Bertrand Russell : Nice People, 1930
 More info.: https://russell-j.com/beginner/0464NP-030.HTM

<寸言>
 「上品さ」を保っていられる境遇がどのようにして実現されてきたかを、歴史をさかのぼって探ってみる必要があります。天下をとった平家も、追われる立場になればしだいに落ちぶれ、(吉野などの)山奥の部落に住み、いつの間にか部落民として差別されるようになった人たちもいるでしょう。一方、腕力が強く、武士となり、多くの民を殺害し、功労が認められて大名となり、明治になって公侯伯子爵などの貴族となった人もいるでしょう。その「上品さ」はどのようにして身につけてきたか・・・?

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