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財政上の見地からすれば,テレグラフ・ハウスから解放されるのは喜ぶべきことであったが,テレグラフ・ハウスから離れることは苦痛であった。私はその家を失った時,(ロメオとジュリエットに出てくる)薬屋が(禁止されている毒薬を売る時に)言ったように,「私の意志ではなく,貧乏が承諾するのです」と言えるものであった。その後長い間私は,定まった住所(定住地)をもたなかったし,また持てそうもないと思った。テレグラフ・ハウスの件は心から残念に思った。
Although, for financial reasons, I had to be glad to be rid of Telegraph House, the parting was painful. I loved the downs and the woods and my tower room with its views in all four directions. I had known the place for forty years or more, and had watched it grow in my brother's day. ... When I sold it, I could say, like the apothecary, 'my poverty but not my will consents.' For a long time after this I did not have a fixed abode, and thought it not likely that I should ever have one. I regretted this profoundly.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB25-070.HTM
<寸言>
"like the apothecary"(あの薬屋)と書かれていても、シェークスピア(の「ロメオとジュリエット)からの引用とは書かれていません。ラッセルの著作にはそういった引用や記述が多いので要注意です。多くは、聖書や、シェークスピアや、シャーロック・ホームズや、ジョン・ミルトンなど、英国人ならすぐに思いつく著作からの引用です。
わからない場合は、Google で検索すると多くの場合、出典がわかります。
細かいことを気にせずに読み進めたほうがいい場合もありますが、誤読したり、表面的な理解で終わってしまう場合も少なくありません。ラッセルの場合は、残念ながら、他の著者に比べ、誤読する人が多いように思われます。
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