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私の次の著作は,『権力-新しい社会分析』』(1938年刊)であった。・・・私は,富よりもむしろ権力が社会理論における基本的な概念であるべきであり,社会正義は,実際に可能な最大限まで'権力を平等化すること'にあると論じた。続いて,もし国家が民主的でないならば,土地と資本の国有はまったく前進とは言えず,また国家が仮に民主的であるとしても,役人(官僚)の権力を抑制する方法がとられた時にのみ前進と言える,と主張した。私の主題の一部は,バーナム「経営者革命」の中に採り上げられ,普及した。しかし,それがなければ,この本はむしろ失敗に終わっていたと言ったほうがよいだろう。けれども,私は,もし全体主義の害悪が回避さるべきものとすれば,-特に社会主義政権下においては- 『権力』における私の主張はきわめて重要性を持っている,という考えを今なお抱いている。
My next piece of work was Power: A New Social Analysis. ... I argued that power, rather than wealth, should be the basic concept in social theory, and that social justice should consist in equalization of power to the greatest practicable degree. It followed that State ownership of land and capital was no advance unless the State was democratic, and even then only if methods were devised for curbing the power of officials. A part of my thesis was taken up and popularized in Burnham's Managerial Revolution, but otherwise the book fell rather flat. I still hold, however, that what it has to say is of very great importance if the evils of totalitarianism are to be avoided, particularly under a Socialist regime.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB25-030.HTM
<寸言>
ラッセルは多作なので、重要な著作であっても埋もれてしまい、あまり読まれていない本も少なくありません。この『権力』(1938年刊)もそのような本の1冊です。昔、みすず書房から邦訳がだされていた時にはかなり読まれたでしょうが,現代の日本では、原著であれ、図書館所蔵の邦訳であれ、読んでいる人はあまりいないだろうと思われます。
『権力』は、歴史上の具体例がとても多く書かれており、現代人が読んでも得るところが非常に多いはずです。
ラッセルのポータルサイトには、全訳(松下訳)を掲載してありますので、興味のある方はお読みになってください。
* https://russell-j.com/beginner/POWER01_010.HTM
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