バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 学校(注:Beacon Hill School という幼児学校)の経営にあたって,私たちは多くの困難を経験したが,それは当初において予想しておかなければいけない事柄であった。・・・第3の困難は,--多分これが最も深刻な問題であっただろうが--,問題児をかなり多く入学させすぎたことであった。・・・。新しい教育方法を試すことに最も熱心だった親は,自分の子供に手を焼いている人たちであった。・・・。
私たちは児童を年長,年中,年少の三つのグループに分けた。年中クラスの一人が年少クラスの子供たちを絶えずいじめていたので,私はどうしてそんなことをするのかとその子にたずねてみた。答えはこうであった。「年長が僕をぶつ。だから(年中の)僕が年少をぶつ。当たり前でしょう!」 彼は本気にそう考えていたのである。

In managing the school ( = Beacon Hill School) we experienced a number of difficulties which we ought to have foreseen. .. A third trouble, and that perhaps the most serious, was that we got an undue proportion of problem children.... The parents who were most inclined to try new methods were those who had difficulties with their children. ... We divided them into three groups, bigs, middles, and smalls. One of the middles was perpetually ill-treating the smalls, so I asked him why he did it. His answer was: 'The bigs hit me, so I hit the smalls; that's fair.'  And he really thought it was.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB24-070.HTM

<寸言>
 子どもの世界は親の世界を反映している(縮図だ)と時々言われます。政治、経済、社会のいずれにおいても、強い者が自分より弱い者をいじめ、その弱い者はより弱い者をいじめる(最も弱い者(=弱者)が最も被害にあう)というのが世の習わしであり、世界の歴史の一側面、いや、大きな側面であるように思われます。
 だから、「やられたら倍返しだ! いや百倍返しだ!」というセリフを主人公が絶叫するドラマ(「半沢直樹」)が人気を博します。このドラマでは「一見」弱い者が強い者に仕返しをしますが、半沢直樹は「弱者」ではなく、本当に弱い者は仕返しができず、誰にも気づかれずに、世間にめだたないように暮し、存在したことも知られずにいつの間にかこの世から消えていきます。

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