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ガリレオの大きな長所(取り柄)は,実験技術/技能及び機械操作の技術/技能と,実験結果を数学的公式に具体的に表わす能力とを,結びつけることであった。・・・まず,運動している物体はそのまま放っておくと止まってしまうだろうと考えられていたが,ガリレオはもし外部から力(影響)を全く受けなければ真っ直ぐに等速度で動き続けることを立証した。・・・運動の速度,あるいは,運動方向における変化は,「加速度」と呼ばれる。このように,なぜは体がそのように動くかを説明する際,力が(その物体の)外部から働いたことを示すのは加速度であって速度ではない。この原理の発見は,力学(の発展)における不可欠な第一歩であった。
The great merit of Galileo was the combination of experimental and mechanical skill with the power of embodying his results in mathematical formula. ... To begin with, it was thought that a body in motion, if left to itself, would stop, whereas Galileo established that it would go on moving in a straight line with uniform velocity if it were free from all external influences.... Change in the velocity or direction of motion is called acceleration. Thus in explaining why bodies move as they do, it is acceleration, not velocity, that shows the forces exerted from without. The discovery of this principle was the indispensable first step in dynamics.
Source: Religion and Science, 1935
More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_02-090.HTM
<寸言>
「常識」が実は「非常識」である典型例。真空状態というものがどういったものであるか知っている現代人にはガリレオの主張は科学的であると理解できるが、真空状態をつくることができなかった時代の人々にとっては、重いもののほうが軽いものよりも落ちる速度が早いと思うのは「常識」であった。いや、現代にあっても、学校で物理(力学)を学んでない幼児にとっては、それは常識であろう。
現代においても、そういった間違っている「常識」はいっぱいあるはず。我々は、ガリレオのような革新的な発見はできなくても、我々にもできる新発見はいっぱいあるはず、・・・と思いたい。
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