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しかし,私自身の見解を生徒たちに押しつけたくない。私のなすべきことは,実際的な問題に対して科学的な態度をとるという理想を生徒たちの前に掲げることである。私は,生徒たちが議論は議論,事実は事実として提示することを期待したい。特に政治においてはこの習慣は貴重であるが,同時にまれである。熱狂的な政党は全て神話の繭(まゆ)をつむぎ,政党の精神はその中で太平の眠りをむさぼる。情熱は,あまりにもしばしば知性を殺してしまう。反対に,知識人においては知性が情熱を殺すことも少なくない。私の目的はこういう二つの不幸を避けることにある。
But I should not urge my own views upon the pupils. What I should do is to put before them the ideal of a scientific attitude to practical questions. I should expect them to produce arguments that are arguments, and facts that are facts. In politics, especially, this habit is as rare as it is valuable. Every vehement political party generates a cocoon of myth, within which its mentality peacefully slumbers. Passion too often kills intellect ; in intellectuals, on the contrary, intellect not infrequently kills passion. My aim would be to avoid both these misfortunes.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926, by Bertrand Russell
More info.:https://russell-j.com/beginner/OE16-060.HTM
<寸言>
「事実は事実、議論は議論」というように両者をしっかり切り分けることが重要であるが、世の中には「事実」があふれているとともに、論理的思考ができない国民も多い。
正しい「事実」であっても、推論が間違っていれば誤った結論が導かれる。いや、実際は、「事実」として提示されるものも、誤解して理解されている場合が少なくない、「その人に都合のよいところだけつまんで」提示される「事実」も多い。(例:「米国の◯◯州の投票率は90%」(事実)になっており、そんなことはありえないので、あきらかに選挙に不正があった、という主張/米国における有権者登録制度に対する無知・無理解!)
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