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すべての偉大な人間がそうであるように,ウィトゲンシュタインにも弱点があった。1922年,彼の神秘主義的な情熱が最高度に達していた時,彼が,'善良であるということ'は'利口であること'よりもいっそうよいというのは確かだと,きわめて真面目に私に言ったのと同じ時に,スズメバチを怖がり,南京虫のせいで,私たちが(オーストリアの)インスブルックで見付けた宿舎に翌日も泊ることができない彼を目撃した。私は,ロシアや中国を旅行した以後は,そのような些細な事には慣れてしまったが(注:当時の中国のホテルでは,南京虫がでるのは日常的なことであった。),彼は,この世のことは取るに足らないと確信しているにもかかわらず,昆虫に対しては忍耐できなかった。
Like all great men he(= Wittgenstein) had his weaknesses. At the height of his mystic ardour in 1922, at a time when he assured me with great earnestness that it is better to be good than clever, I found him terrified of wasps, and, because of bugs, unable to stay another night in lodgings we had found in Innsbruck. After my travels in Russia and China, I was inured to small matters of that sort, but not all his conviction that the things of this world are of no account could enable him to endure insects with patience.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB22-080.HTM
<寸言>
人間一般にとってとるにたらないものでも、自分(個人)に悪い影響を与えるものには大きな影響を受けてしまう。新型コロナウィルスは(日本人には)たいしたことではないと言う者も、自分が感染して中等症以上になれば「たいしたもの」になってします。そう、他人に関する大きな影響は「たいしてことはない」が、自分に関するものは何でも「たいしたこと」になりやすい。だから、評論家はあまり信頼できない。
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