バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 正確な知識の獲得は,退屈になりがちであるが,正確さを身につけることは,いかなる優れた仕事をするためにも不可欠なものであり,この事実は,適切な方法によって,子供にもはっきりとわからせることができる。近代的な教育法がこの点で失敗している以上,近代的教育法はまちがっている。他の多くの問題と同様,この問題においても,旧式の悪い形の訓練に対する反動は,不当なだらしのなさに傾いてしまっており,このだらしのなさは,古い外的な権威よりもいっそう内面的かつ心理的な新しい訓練に取って代わられなければならない。

The acquisition of exact knowledge is apt to be wearisome, but it is essential to every kind of excellence, and this fact can be made obvious to a child by suitable methods. In so far as modern methods fail in this respect, they are at fault. In this matter, as in many others, reaction against the old bad forms of discipline has tended to an undue laxity, which will have to give place to a new discipline, more internal and psychological than the old external authority.
 Source: On Education, especially in early childhood, 1926, by Bertrand Russell
 More info.:https://russell-j.com/beginner/OE14-080.HTM

<寸言>
 現代においては科学(自然科学・科学技術及び生命科学など)の占める割合が大きく、「正確な知識」の獲得に多くの時間がさけられています。しかし、社会科学や人文科学の分野においては、必ずしも、客観的かつ正確な知識の獲得が重視されているとは言えません。
 特に社会科学に関する知識はそうです。大学教育においてはさすがにそんなことはほとんどありませんが、義務教育においては、「偏った意見」を教えてはいけないということが強調されるあまり、いろいろな意見を聞いた上でより客観的かつ妥当な結論を導くというような教育や訓練はあまりなされていません。
 だから、たとえば、学術会議の一部の会員の任命拒否の問題でも、政府の「推薦された者を全員総理が任命する義務はない」「会員の任命は総合的、俯瞰的見地から行う必要がある」といったふんわりとした弁明で、「総理や政府の立場は理解できる」答える国民が30%もいるしだいです。

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