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私はたった一人の人間の生命を救うことさえも,また戦争を一分たりとも短縮することもできなかった。ヴェルサイユ条約をもたらす原因となった敵意を減らすためにいかなることもなすことに成功しなかった。しかし,ともかくも私は,すべての交戦国が犯した罪の共犯者ではなかったし,また,自分のためには'新しい人生観(philosophy)と新しい青春(注:コレットとの恋愛など)を得た。私は,大学教師'であることと厳格な人間(ピューリタン)であることから解放された。
I had not succeeded in doing anything to diminish the bitterness which caused the Treaty of Versailles. But at any late I had not been an accomplice in the crime of all the belligerent nations, and for myself I had acquired a new philosophy and a new youth. I had got rid of the don and the Puritan.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB21-350.HTM
<寸言>
戦争に反対する者は非国民となり、獄死したり、出獄後も刑務所の厳しい環境から病を得て、出獄後まもなく亡くなる人も少なくありません。ラッセルの場合は、イギリスを代表する貴族の子弟であること(しかも祖父は2度英国の総理大臣に就任)から、刑務所の第一部門に入れられ、健康を害することはありませんでした。
いったん戦争が始まれば、戦争を終結させることは非常に難しく、どんなにすぐれた思想家であっても無力となってしまいます。それでも、大部分の国民が戦争熱に流されるなか、自分はなんとか踏みとどまることができたということで、自分を慰めることができました。
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