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刑務所内における私の気分のいくらかは,以下の兄宛の手紙 -それらの手紙は全て,刑務所長のところを通過させられるようなものでなければならなかった。- からの抜粋によって例証される。
「・・・私は,ここでは,世界における心配事を1つも持っていません。神経や意志に対する休息は,天国のようです。次のような人を苦しめる質問(問題)からも解放されています。即ち,(反戦活動に関して)「もっと私にできることはないか?」「私のまだ考えついてないことで,もっと効果的にやれることが何かないだろうか?」「すべてを棄てて,哲学に戻る権利が私にはあるだろうか?」等々。ここ(獄中)では私はすべてをなるがままにしておかなければなりません。・・・」
Some of my moods in prison are illustrated by the following extracts from letters to my brother, all of which had to be such as to be passed by the Governor of the prison: "... Here I have not a care in the world: the rest to nerves and will is heavenly. One is free from the torturing question: What more might I be doing? Is there any effective action that I haven't thought of? Have I a right to let the whole thing go and return to philosophy? Here, I have to let the whole thing go, ..."
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB21-270.HTMM
<寸言>
知識人も戦争勃発前には戦争反対を唱えていても、いったん戦争が始まると多くの人が国に協力し、戦争に協力しない者を「非国民」として非難し追い詰めていきます。そのような状況においては、反戦的な態度をしめす者はマイノリティとなり、生存さえも脅かされてしまいます。
そうして、真実に忠実であることは知識人の責務である考える者は、自らの愛国心との板挟みにあい、呻吟します。
しかし、刑務所にいれられてしまえばもうどうしようもないので、かえって気が楽になるというしだいです。
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