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しかし,1903年と1904年の2度の夏は,完全な'知的行き詰まりの時期'として,私の記憶に残っている。論理的矛盾(パラドクス)を解決しないことには先に進めないことは明らかであった。そこで,いかなる困難があっても『プリンキピア・マテマティカ』の完成だけはなしとげようと決意していた。しかし,私のその後の人生のすべては,あの白紙のみを見つめることに費やされることはまったくありそうなことだと思われた。さらに一層私をいらいらさせたのは,そのパラドクスは取るにたらないものであり,私の貴重な時間が,まじめな注意を払うに値いしないと思われるような事柄について考えることに費やされるということであった。
But the two summers of 1903 and 1904 remain in my mind as a period of complete intellectual deadlock. It was clear to me that I could not get on without solving the contradictions, and I was determined that no difficulty should turn me aside from the completion of Principia Mathematica, but it seemed quite likely that the whole of the rest of my life might be consumed in looking at that blank sheet of paper. What made it the more annoying was that the contradictions were trivial, and that my time was spent in considering matters that seemed unworthy of serious attention.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB16-130.HTM
<寸言>
先日、「(紙の表には)この紙の裏に書かれていていることは間違っている」と書かれており、「(紙の裏には)表に書かれていることは正しい」と書かれている例が紹介されていた。
つまり、「この紙の裏に書かれていることは間違っている」というのが正しいとすると、(裏に書いてある)「「表に書かれていることは正しい」というのは間違っている」つまり「表にかいてあることは間違っている」ということになり、表に書かれている「この裏に書かれていることは間違っている」は間違っている(この紙の裏に書かれていていることは正しい)ことになり、(表の)「この紙の裏に書かれていていることは間違っている」は正しいことになり、・・・というように堂々巡りになり、何が何だかわからなくなる
個々の命題とそれらの命題の集合に言及する命題とを区別しないと議論は迷走する。
ラッセルは命題に階層を認める「型の理論(theory of types)」を提唱することになる。
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