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一つの習慣として,不誠実(不正直)であることは,ほとんど常にといってよいほど,恐怖心が生み出したものである。恐怖心なしに育てられた子供は,正直であるだろうが,それは,道徳的に努力しているからではなく,誠実(正直)である以外の考えが頭に浮かんでこないだけのことであろう。賢明に,かつ親切に取り扱われてきた子供は,卒直なまなざしをしており,知らない人に対しても,ものおじしない態度をとる。一方,うるさく小言を言われたり,厳格な扱いをされたりしてきた子供は,しかられはせぬかと絶えず恐れており,自然にふるまったときには,いつも,何かルールに違反したのではないかとおびえている。嘘をついてもよいという考えは、幼い子供には,最初は浮かんでこない。嘘をつくことができるというのは,一つの発見であり,それは,恐怖にかられておとなの顔色を窺うことから生じるものである。
Untruthfulness, as a practice, is almost always a product of fear. The child brought up without fear will be truthful, not in virtue of a moral effort, but because it will never occur to him to be otherwise. The child who has been treated wisely and kindly has a frank look in the eyes, and a fearless demeanour even with strangers; whereas the child that has been subject to nagging or severity is in perpetual terror of incurring reproof, and terrified of having transgressed some rule whenever he has behaved in a natural manner. It does not at first occur to a young child that it is possible to lie. The possibility of lying is a discovery, due to observation of grown-ups quickened by terror.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926, by Bertrand Russell
More info.:https://russell-j.com/beginner/OE08-020.HTM
<寸言>
これは子供の世界だけでなく、大人の世界でも同様。恐怖心から「忖度」、嘘をついたり、嘘でなくても本当のことを言わなかったり、政治の世界、仕事の場、家庭、その他、世界に蔓延している。
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