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本質的にエピメニデスの矛盾と同様の矛盾は,「この紙の裏面に述べられていることは誤りである。」と書かれた紙を人に渡すことによって作り出せる。その人が今度はその紙を裏返せば,紙の裏面には,「この紙の裏面(即ちさきほどの表面)に書かれていることは正しい」と書いてあるのを発見する。大人がそのようなとるに足らないことに時間を費やす価値はないように思われたが,しかしそれなら私は一体何をすればよかったのか。そのような矛盾が通常の(正規の)諸前提から避けられないのであるなら,何かがまちがっていたのである。つまらないものであろうとなかろうと,この問題は(私に対する)1つの挑戦であった。
A contradiction essentially similar to that of Epimenides can be created by giving a person a piece of paper on which is written: 'The statement on the other side of this paper is false.' The person turns the paper over, and finds on the other side: 'The statement on the other side of this paper is true'. It seemed unworthy of a grown man to spend his time on such trivialities, but what was I to do? There was something wrong, since such contradictions were unavoidable on ordinary premisses. Trivial or not, the matter was a challenge.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1 :
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB16-050.HTM
<寸言>
『プリンキピア・マテマティカ(数学原理)』の執筆が順調になってきていたときに突然つきあたった(発見した)「ラッセルのパラドクス」。以後、パラドクスとの格闘が続き、(命題に階層を認める)「タイプ理論」の提示で「一応の」解決を見ることができた。
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