バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 宗教改革は,それまで地上のいかなる世俗的な政府よりも強力なことを繰り返し身をもって証明してきた一つの強大な国際組織(注:カトリック教会組織/教皇体制)を部分的に崩壊させたものとして,主として重要であった。ルーテルは,カトリック教会とカトリックの過激派と対抗して勝利するために,俗界の諸侯に頼らざるを得なかった。ルーテル派教会は,ヒットラーの時代になるまで,決して,カトリック教を奉じない政府に対し不忠実な態度を示したことはなかった。農民(小作人)たちの反乱は,ルーテルに,諸侯に服するように説教させるもう一つ別の理由を与えた。独立した一つの権力としてのカトリック教会は,ルーテル派の国々においては,事実上,存在しなくなり,世俗政府への服従を説く機構の一部となった。

The Reformation was chiefly important as the partial destruction of a great international organization, which had repeatedly proved itself stronger than any secular government. Luther, in order to succeed against the Church and the extremists, was obliged to rely upon the support of secular princes*; the Lutheran Church never, until the time of Hitler, showed any disloyalty to governments that were not Catholic. The peasants' revolt gave Luther another reason for preaching submission to princes. The Church, as an independent power, practically ceased to exist in Lutheran countries, and became part of the machinery for preaching submission to the secular government.
 Source: Power, a new social analysis, 1938, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/POWER07_110.HTM

<寸言>
 カトリック(旧教)の国イタリアやフランス(いわゆるラテン諸国)とプロテスタント(新教)の国イギリスとの違い(国民の政府に対する態度ほか)やその歴史的起源がよくわかる。イギリスはヘンリー八世がカトリックの影響を排除しようと英国国教会を創ったのが大きく影響している。
 ちなみに、アメリカ国民の約半数がキリスト教信者で、またそのなかではプロテスタントの方が少し多いとのこと(米国民の約23%がカトリックで、約27%がプロテスタント)。
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