ラッセル関係電子書籍一覧 |
良い人生(生活)は,恐怖心や禁止や自由に対する相互の干渉の上に築くことはできない。こういうものなしに貞節が達成されるのであるならばそれは良いことである。しかしそういったものが全て必要だとしたら余りにも高すぎる代価を支払ったことになり,また,時々の過失を少しはお互いに許しあったほうがよいということがわかるだろう。夫婦相互に嫉妬心を抱くことは,たとえ肉体的な貞節が保たれていたとしても,いつまでも変わらぬ深い愛情の強さを究極的に信頼している場合よりも,いっそう大きな結婚の不幸の原因をもたらすことが多いのはまったく疑問の余地はない。
A good life cannot be founded upon fear, prohibition, and mutual interference with freedom. Where faithfulness is achieved without these, it is good, but where all this is necessary it may well be that too high a price has been paid, and that a little mutual toleration of occasional lapses would be better. There can be no doubt that mutual jealousy, even where there is physical faithfulness, often causes more unhappiness in a marriage than would be caused if there were more confidence in the ultimate strength of a deep and permanent affection.
Source: Marriage and Morals, 1929, by Bertrand Russell
More info.: https://russell-j.com/beginner/MM21-110.HTM
<寸言>
これは意見の分かれるところ。ラッセルは嫉妬などという悪しき感情を許容するより、寛容の心や愛情の範囲を拡大していったほうがよいと主張する。これに対し、嫉妬は愛情の現れだとして好意的に見る人も多くない。しかし、実際は嫉妬心によって愛情が壊れているおとがけっこうある。それを実感するのは愛が壊れた後であり、激情にかられて離婚し、後から後悔する人が少なくない。
ラッセル関係電子書籍一覧
#バートランド・ラッセル / #Bertrand_Russell